これだけは知っておきたい石鹸の特性

石鹸は界面活性作用を失いやすい

石鹸にはほかの界面活性剤と大きく違う特性がいくつかあります。それらに共通するのは「ある条件を与えると界面活性作用(油脂と水を混ぜ合わせる力)が簡単に失われる」ということ。

界面活性作用が失われやすいのは「特性」というより「欠点」では? そんな疑問も湧いてきそうです。しかし、人体や環境のことを考えたとき、この「欠点」は大きな美点となります。

皮脂を取り過ぎない

たとえば、身体を洗うとき。石鹸は水でさっと流せばもうそれ以上皮脂を取ることがありません。肌が荒れているときに皮膚科医が石鹸を勧める理由のひとつがこれです。

環境に悪影響を与えにくい

また、使ったあと排水として放出されてもすぐに洗浄力を失いますから、浄化槽のバクテリアや水生生物に界面活性作用を及ぼす心配がないのです。

では、具体的に石鹸にはどのような特性があるのかみてゆきましょう。

特性1:薄まると汚れを手放す

石鹸の泡が水で薄まってよごれが逃げる!

臨界ミセル濃度

石鹸が洗浄力を発揮するためには、ある程度以上の濃度が必要です(臨界ミセル濃度)。

そしてその濃度を下回ると、汚れを捕まえる力を失ってしまいます。これを「界面活性作用を失う」「失活する」と表現します。

食器は流水すすぎがお勧め

石鹸で食器を洗うときに流水すすぎが勧められるのは、この界面活性作用が失われるのを防ぐためです。

溜めすすぎをすると食器に付いていた石鹸が薄まって失活します。すると、それまで捕まえていた汚れが水中に漂い出て食器にまたくっついてしまいます。

石鹸で洗ったアワアワの食器は、水がかからないようにシンクの隅によけておきましょう。

洗濯で「泡」を気にすべき理由

洗濯でも同じです。水に溶けている石鹸が臨界ミセル濃度を下回っていると汚れが落ちません。

一般的に、石鹸は臨界ミセル濃度に達すると泡が立ちはじめます。ですから、「石鹸洗濯には泡が大事」といわれるのです。

特性2:酸に弱い

石鹸の泡がお酢でギブアップ!

お酢やソース類に要注意!

石鹸はアルカリ性ですから、酸性の物質に出会うと中和されて洗浄力がなくなります。

食器についた汚れは大抵が酸性ですが、特にポン酢や酢の物の残り汁、ケチャップ、ソース、マヨネーズ、果汁などの酸味のあるものは石鹸の大敵。食器を洗う前に以下の様にして必ず落としておきましょう。

  • 古布や野菜くずで拭き取る。
  • スクレイパーやゴムベラでかき落とす。
  • 水で予洗する。

皮脂汚れも酸性

衣類についた皮脂汚れも「脂肪酸」という酸性物質が主となる酸性汚れです。

一般的に、衣類のよごれは食器と違ってそれほど濃くありません。泥だらけのスポーツユニフォームや機械油がべったりついた作業服などは予洗いが必要ですが、そうでなければ炭酸塩(アルカリ剤)の配合された石鹸を使って普通に洗うだけで十分です。

特性3:ミネラルに弱い

石鹸とミネラルが出会って金属石鹸に変身!

硬度成分に要注意

水にはカルシウムやマグネシウムといったミネラル成分が含まれています。

これらのミネラル成分は水の性質を決める重要な要素で、硬度成分とも呼ばれます。硬度成分の多い水は「硬水(こうすい)」と呼ばれます。

硬水では石鹸カスが多く出る

石鹸は、ミネラル分と出会うと水に溶けない金属石鹸に変化してしまいます。金属石鹸は、俗に「石鹸カス」とも呼ばれます。

金属石鹸には良い点もあります。肌にひきしまるような爽快感を与えたり、髪の毛にツヤを与えたり。しかし、髪にたくさん残るとゴワついたり、きしみの原因になったりします。洗濯だと、色の濃い衣類を白く汚すこともあります。

そのため硬水では石鹸が使いにくいと一般的に言われます。

日本の水は硬度成分が少なめ

ただ、日本の水は海外ほどミネラル分が多くない傾向があります。硬度成分の少ない水は「軟水(なんすい)」と呼ばれます。

硬度が高くない水の場合は、洗濯や食器洗いにはアルカリ助剤入りの石鹸を使う、シャンプーでは酸性リンスをきちんと行うなどの対策を取ればほとんど問題は起こりません。

水道水の硬度が高いときは

地域の水にミネラル分が多くて石鹸がどうしても使いづらいときは、ミネラル分に強いヤシ油石鹸(ココナッツ石鹸)を使ったり、アルカリ剤を最大限活用して石鹸を使わないですむ工夫をしたりすると良いでしょう。

特性4:冷水では溶けにくい

水でふるえるブクちゃんとお湯で泡立つブクちゃん

20℃以上あれば大丈夫

石鹸の原料であり、洗浄力の元となっている脂肪酸という物質は20度以下の冷水には溶けにくい性質があります。40~50度くらいないと溶けない脂肪酸もあります。石鹸が溶けなければ、洗浄力も十分に出ません。ですから、特に洗濯や皿洗いでは水温20度以上を保つよう気をつけます。

水道水の温度は?

水道水の水温は1日の平均気温に近いといわれています。したがって、日本では夏には20度以上あっても、秋から冬にかけては20度以下になる地域が多いと思われます(下記の表を参照)。

手で触ったときに「冷たい」と感じたら、20度を下回っていることが多いようです。

水温が低いときの対処法

水が冷たい時期は、洗濯にはお風呂の残り湯を活用する、台所では給湯器のお湯を使う(20度以上あればOK)などの工夫をしましょう。

それができないときは、汚れをあらかじめ拭っておく、アルカリ剤を最大限活用するなど、なるべく石鹸を使わないですむ工夫をすると良いでしょう。

 4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月
最高16.119.721.527.127.725.420.517.912.78.810.512.8
最低12.015.117.120.323.420.418.012.69.07.18.28.1
平均13.617.319.624.525.923.919.715.111.18.18.810.4
2022年5月改訂

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