液体石鹸(カリウム石鹸)は、塩析しても水から分離しない為です。
塩析のメカニズム
塩析とは、鹸化の終わった石鹸の素・石鹸膠(せっけんにかわ)から純石鹸分を取り出すための工程です。水酸化ナトリウムを使って作る固形石鹸(ナトリウム石鹸)でよく行われます。
ナトリウム石鹸が溶けている石鹸膠に大量の食塩を加えると、食塩が石鹸分の持っている水分を奪います。水分子を奪われたナトリウム石鹸は固形になって出てきます(析出)。それを濾し取ると純粋なナトリウム石鹸が得られます。
※参考→「『塩析』とは何ですか」
液体石鹸には塩析が効かない
液体石鹸(カリウム石鹸)は、水酸化カリウムで原料油脂を鹸化して作ります。
鹸化の終わったカリウム石鹸の中に食塩を混ぜても純石鹸分のみを取り出す事は出来ません。何故なら、カリウム石鹸が水分子を捕まえる力が、食塩が水分子を捕まえる力より強い為です。
カリウム石鹸に塩析を行わないのはこれが理由です。
塩析しない=純石鹸分の割合は低い
塩析ができないと不純物と石鹸分を分けることができません。その為液体石鹸では、塩析して作られた石鹸よりも純石鹸分の割合は低くなっています。(水分ゼロの状態でも)
塩析しない石鹸を作るときは、未反応のアルカリなど肌に刺激になる成分が製品中に残らないよう原料や配合を工夫する必要があります。
「不純物」の中にはお肌に良い成分も
塩析をすると油脂に含まれる天然の保湿剤グリセリンも「不純物」として除かれてしまいます。しかし塩析をしない液体石鹸にはそれが残っています。その為洗い上がりがしっとりする等の利点もあります。
2020年3月改訂(2010年5月初出)