日本語で「泡」と呼んでいるものには、実は2種類あります。「気泡」と「泡沫(ほうまつ)」です。
気泡とは
気泡とは「液体によって気体が閉じ込められたもの」を指します。英語ではバブル(bubble)と呼びます。
例
- シャボン玉
- コップに注いだビールからシュワシュワと湧き上がる泡
泡沫とは
泡沫とは「気泡が沢山集まったもの」を指します。英語ではフォーム(foam)と呼びます。
例
- 洗顔用に泡立てたクリーム状の泡
- コップに注いだビール表面を被う白い泡の層
石鹸の気泡が泡沫になる仕組み
洗濯機で石鹸水をかき混ぜると気泡(石鹸の泡)ができます。その気泡がすぐ消えずに泡沫になるのは何故でしょう。
それは、石鹸の「界面活性作用」と洗濯機の「物理的な力」に理由があります。
界面活性作用が石鹸の泡を保つ
ただの水をばしゃばしゃとかき混ぜても気泡はできますが、すぐに消えてしまいます。それは水の表面張力が働いている為です
液体の表面張力は、その液体が一番安定した表面の状態を常に保とうとします。ふつうの水では、泡が立っている状態よりも、そうでない水面の方が安定した状態。だから、一瞬気泡ができても表面張力がそれを破って平らで安定した状態に戻るのです。
ところが、石鹸のような界面活性剤はその表面張力を弱める働きがあります。
すると、水面に泡が立ってもそれを破って真っ平らな状態に戻ろうとする力が足りなくなります。その結果、できた気泡は安定し、それが沢山集まって泡沫ができるわけです。
石鹸が不足していると泡にならない
水の中に十分な量の石鹸が溶けていれば、前述したように気泡や泡沫ができます。
しかし、たとえば50リットルの水に1グラムの粉石鹸をよく溶かしてかき混ぜても泡は立ちません。これは、水の量に対して石鹸が少なすぎるからです。
このような場合、入れた石鹸は水中のミネラル分と反応して洗浄力のない金属石鹸となり、界面活性作用を失います。ですから当然、泡も立ちません。
かき混ぜる力が泡を作る
充分な量の石鹸が水によく溶けていても、そのまま静かに放置しているだけでは泡は立ちません。逆に、ただの水でも激しくかき回してやれば、一瞬ではありますが泡が立ちます。
泡を作るためには石鹸水の中に空気を取り込む必要があり、そのためには水面を大きく動かす物理的な力も重要なのです。
十分な石鹸を使い、よく溶かし、力強くかき混ぜてやる。このことが安定した気泡と泡沫を作るポイントということです。