重曹とは

ナチュラルクリーニングの火付け役

ナチュラルクリーニングの主役として人気の重曹。マスコミにもよく取り上げられ、How to本も数多く出版されています。

スーパーやドラッグストアなどでも簡単に手に入る為、愛用者も多いと思われます。

「魔法の粉」ではありません

重曹はふくらし粉やコンニャクの凝固剤、胃薬の成分として昔から重宝されてきました。勿論、ナチュラルクリーニングに於いてもよく役に立ちます。

ただ、一部マスコミやHow to本で言われるような「万能クリーナー」ではありません。

「汚れが落ちない。普通の洗剤のほうがいい」
「重曹でこすったら鍋が変な色になった!」
「消臭剤のはずなのに、臭いが取れない…」

重曹を使ってこのような結果になったら。それは重曹があまり得意でない分野のことを試したか、コツを外して使った可能性があります。

特徴を理解して正しく使う

例えば、油脂の乳化やタンパク質の分解作用は、炭酸ソーダ(炭酸塩)セスキ炭酸ソーダに劣ります。

理由は、重曹のpHが炭酸ソーダ(炭酸塩)セスキ炭酸ソーダより低い(=アルカリ性が弱い)為です。(重曹:pH8.4/炭酸ソーダ:pH11.2/セスキ炭酸ソーダ:pH9.8)

また、水にやや溶けにくい為、アルカリスプレー作りにも不向きです。

重曹は、性質をよく飲み込んで使えば優秀な働きをしてくれます。特徴をしっかりチェックして、その能力を最大限に引き出して使いましょう。

化学名 炭酸水素ナトリウム/重炭酸ソーダ/重曹
化学式 NaHCO3
英語名 sodium bicarbonate, baking soda
重曹の特徴
  • 水溶液はpH8.2(2%、20℃)のごく弱いアルカリ性を示します
  • 人体に無害な物質で、食品添加物(ふくらし粉など)や医薬品(胃薬など)として古くから利用されてきました
  • 粒子が細かく、水に溶けにくい性質があります
  • 加熱すると分解して炭酸ガスを発生します
  • 常温では安定しており、長期保存が可能です
重曹が得意なこと
  • 粒子が細かく水に溶けにくいため、クレンザー(磨き粉)として使えます。食用グレード品は歯磨き粉にもなります。
  • 酸性物質の臭いを中和して消します。冷蔵庫や生ゴミ箱、靴箱等の脱臭に。
  • 入浴剤に。重曹を溶かした重曹湯は、血管を拡張し血行を促進する働きがあります。
  • ふくらし粉としてお料理に。 ※食用グレードの製品に限る。
  • 鍋のコゲ落としに。重曹と水を鍋に入れて熱すると二酸化炭素の泡が発生。その力でコゲを浮かせることができます。 ※重度の焦げ付きには過炭酸ナトリウムのほうが効果的。

重曹の使い方:基本の使い方とキッチン

重曹が苦手なこと
  • 洗濯には向いていません。(詳しくは重曹洗濯についてをご参照ください)
  • 激しい油汚れ落としは、よりpHが高い炭酸ソーダ(炭酸塩)セスキ炭酸ソーダ」に劣ります。(換気扇やコンロ周りの油汚れなど) ※全く使えない、ということではありません。
  • 白くてカチカチの水垢汚れも苦手です。この類の汚れにはクエン酸や酢酸の方がよく効きます。
  • トイレのアンモニア臭など、アルカリ性の臭いは消せません。重曹もアルカリ性なので、中和できないからです。
使うときの注意点
  • 粒子が手の表面をこするので、手荒れしやすい人はゴム手袋をして作業すると安心です。
  • 漆器やプラスチックなど、柔らかい素材は重曹の粒子で傷つくことがあります。
  • 水に混ぜてスプレー容器に入れるのは止めましょう。溶け残りの重曹がスプレーノズルを詰まらせる事があります。
  • 粉が目に入ったら清潔な水で十分にすすぎ流します。痛みや違和感が残る場合は、医療機関に相談して下さい。
  • 湿気を吸うと固まる事があります。きちんとフタのできる容器で保管しましょう。
2019年12月改定(2001年9月初出)

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