岩田氏パンフのまちがい(2)

前号にひきつづき安達六郎氏の論文に「せっけんの方が赤潮に関係している」とあるという岩田友和氏のパンフレットの間違いを正します。

「環境科学」研究報告集B14-R20「合成洗剤に関する生物環境学的研究」昭和53年3月文部省「環境科学」特別研究:三重大学環境科学特別研究班

をすみからすみまで読んでも、岩田氏の引用した記述はありません。安達氏の論文には4種類の赤潮プランクトンについて、LASとABSに関する実験例があるだけで、「LASの0.3ppm以下、ABSの1ppm以下では培養液中の溶存酸素が高く光合成の促進が考えられる。これらの事実は沿岸海域の残留洗剤の濃度が0.01~0.1ppmの範囲にあることと関連して、赤潮発生機構を解明する手掛かりとして重要な知見である」とあります。油脂系洗剤についてはプランクトンによる実験例の記載もありません。従ってこの論文には、せっけんと赤潮プランクトンの関連は出ていないのです。

主婦の手荒れ、赤ちゃんのオムツカブレが、合成洗剤からせっけんに切りかえたとたんに、うす紙をはがすように治っていくという事実こそ、生活者が文字どおり肌で感じている合成洗剤に対する不信感です。科学論争に迷いこむ必要はありません。

岩田氏は同じ報告集の中にある坂下栄氏の「合成洗剤塗布による肝組織の電子顕微鏡的解析」という論文は無視しているのです。

※このコーナーでは、石川貞二さんの文章をそのまま掲載しています。当「石鹸百科」とは異なる見解が含まれていることがあります。