岩田氏パンフのまちがい(1)

全国消費者連合代表岩田友和という人がつくった『洗剤問題のゆがみを正す』と題するパンフレットが、市町村の合成洗剤問題担当係に無料で配布されています。この人は「1969年日本消費者連盟創立委員会の代表になりました」とこのパンフレットに書いてありますが、その後、連盟とどういう関係なのか書いていないので、筆者を含めて多くの人が、連盟の関係者だと信じてしまいそうです。

パンフレットの内容は、合成洗剤はまったく無害安全であるという、メ-カ-側の出しているP・R誌類そのままの論法で、合成洗剤追放運動を批判し、せっけんをけなしています。

それぞれの無害論については、すでにそれぞれ専門の立場の良心的な研究者の反論がすでに出つくしているので、何をいまさらということばかりです。私の専門の分野については、「ところが、三重大学の安達六郎博士は『せっけんの方が赤潮に関係してる』と言っています」という部分があります。この出所である「合成洗剤に関する環境学的研究」(1978年)には「赤潮の原因として、これまで窒素塩、リン酸塩等による海域の富栄養化を主にとりあげて論議されてきたが、LAS・ABS・AS及び油脂系洗剤そのものが、直接的に赤潮に関連することが明らかになった」と書いてあるだけです。

これがどうして「せっけんの方が赤潮に関係している」と言っていることになるのでしょうか。

岩田友和という人はとんでもない人です。確かに彼は日本消費者連盟の設立にかかわったことはあるようです。しかし、いつの間にか洗剤企業の手先になり、こんな馬鹿馬鹿しいことをやり始めました。このパンフレットの内容に対して、日本消費者連盟は早速、滋賀大学の故・鈴木紀雄教授に『合成洗剤は公害源です』、三重大学の坂下栄さんに『合成洗剤は有害です』というリーフレットを書いてもらいました。ところが彼は、その後の連盟の定期総会にシレッとして出席するほどの、鼻持ちならない人間なのです。会員であるからには出席を拒むこともかなわず、出席者から非難の声が挙がっても、平然としていられる神経の持ち主でした。世の中にはいろいろな人がいるものです。

※このコーナーでは、石川貞二さんの文章をそのまま掲載しています。当「石鹸百科」とは異なる見解が含まれていることがあります。