味覚をうばう合成洗剤

合成洗剤が歯みがき剤に含まれているということは、味覚にも影響があります。水産庁の藤谷超博士が、アメリカ留学中に行った実験では、合成洗剤のうすい溶液中でナマズの味蕾が破壊されるという結果がでています。味蕾というのは、人の舌にもあって味を感じる器官です。0.5ppmでも三週間でナマズの味蕾は破壊されるのです。歯みがき剤には2%、つまり2万ppmの合成洗剤が含まれているのです。

藤谷博士は、「魚は鋭い味覚を持っているから、汚染された水域を敬遠することが可能なのであり、もし味覚が失われれば、有害物質を避けることができずに、大きな被害を受けることになるだろう」と警告しておられます。

隅田川に魚がもどってきたのは、隅田川がきれいになった証拠であると喜んでいる人たちがいますが、もしかしたら魚の方がバカになってしまって、平気で汚れた隅田川にすめるようになってしまったのではないでしょうか。

愛媛大学の立川博士によれば、遡上期のアユは、0.11ppb(1ppbは1000分の1ppm、つまり10億分の1)の合成洗剤さえも忌避する能力があるとされています。そんな敏感な魚が、平気で隅田川にすんでいられるとしたら、やはり感覚がマヒしているためでしょう。

インスタント食品のような怪しげな物を平気で食べられる人たちも、たぶん歯みがき剤のために味覚が相当損なわれているのでしょう。

※このコーナーでは、石川貞二さんの文章をそのまま掲載しています。当「石鹸百科」とは異なる見解が含まれていることがあります。