石けんと合成洗剤のちがい

合成洗剤追放というけれど、合成洗剤の定義は何か、ということを問題にする人達がいます。石けん以外は全部合成洗剤というと、石けんだって化学物質だから合成洗剤だろうという人もいます。しかし石けんは、人類が火を使い始めた頃、獣脂がたれて下の灰に作用してできたものが始まりといわれる位、我々が家庭生活で普通に使っている程度のエネルギーがあればできるわけで、高温・高圧の必要な合成洗剤とは基本的にちがいます。

現在の家庭用品品質表示法の表現をかりれば、脂肪酸系(陰イオン)脂肪酸塩だけが石けんで、その他は全部合成洗剤という分け方が、一番すっきりします。従って、合成洗剤追放ということは、「石けん以外全部追放」ということで問題ありません。例えば、石油から脂肪酸をとって石けんを作れば、それは石けんですし、動植物の油脂から高級アルコールをとって合成洗剤を作れば、これは合成洗剤であって追放すべきものです。

つまり石油から採ろうが、小麦から作ろうが、グルタミン酸ソーダはグルタミン酸ソーダで、味の素がいやなら、原料に関係なくいやなはずです。石油から石けんをつくることも、天然油脂から高アル系の洗剤を作ることも、無駄なことです。何百年もの間、人類は石けんだけで十分だったのです。そのもっと前は、石けんもなかったのに、生物は地球上で繁殖し、進化してきたではありませんか。

※このコーナーでは、石川貞二さんの文章をそのまま掲載しています。当「石鹸百科」とは異なる見解が含まれていることがあります。