せっけんの方が洗浄力が強いというわれわれの主張に対して、せっけんはやはり落ちが悪いという人によく聞いていみると、たいがいが台所用の液体せっけんを使って、悪口をいっていることに気がつきます。これは当然のことで、台所用の液体せっけんはカリせっけんですから、うすい状態ではほとんど洗浄力がなくなってしまうのです。シャンプーも同じことですが、この方は二度洗いをすすめると、ほとんど苦情はなくなります。しかし食器を二度洗えということは少々無理のようです。
ではどうしたらよいかといったら、液体の台所用せっけんは決して使わない、すすめないということしかありません。だいたい約80%の水と、プラスチックの容器をその都度買わねばならないことに疑問を持つべきです。プラスチック容器はそのものが公害源でもあります。
台所では固形せっけんを使えばよいのです。洗たく用の第二種固形せっけんは、香料もなく、洗浄力も強いので、食器洗いに向いていますが、アルカリが少し強いので肌の弱い人は、あまり高い温度で使わない方がいいでしょう。
浴用せっけん、化粧せっけんは香料が入っているので、食器にいやなにおいが残ります。それに物によっては合成洗剤の類が混ぜてあります。純せっけん分95%以上の、香料を一切添加していない第一種固形せっけんは一番安心です。せっけんメーカーは、台所用の液体せっけんの製造をやめてください。
液体石けんの悪口を書いていますが、基本的には今も考えは変わっていません。食器洗いには洗濯用の粉石けんをぬるま湯で溶かして使うのが、一番経済的できれいに洗えます。
ただ、シャンプーに関しては、浴用の固形石けんを使えと言っても、大方の女性にはソッポ向かれるだけで、全然受け入れて貰えませんでした。他のものは石けんに変えた人でも、シャンプーだけは市販の合成洗剤のものを使っているという人が、圧倒的に多かったのです。
太陽油脂が香料入りのシャンプーを売りだしてから、ようやく石けんシャンプーが日の目を見るようになりました。暁石鹸でも今までの頑固な考え(水物は作らないという姿勢)を変えて、石けんシャンプー・リンスを作りました。
全自動洗濯機の普及で粉石けんが使いにくくなったと言う人が多く、そのために洗濯用の液体石けんが売れています。しかし、液体石けんはカリ石けんですから、どうしても洗浄力は落ちます。
もっとも最近はほとんど汚れていない衣服を洗う人が多いので、それでもいいのかもしれません。しかし洗濯の仕方を工夫さえすれば、粉石けんの方がよほど有利なんですけどね。
※このコーナーでは、石川貞二さんの文章をそのまま掲載しています。当「石鹸百科」とは異なる見解が含まれていることがあります。