廃油を出さぬ工夫も必要

家庭から出る天ぷら廃油を回収して、せっけんをつくるということが、運動としてずいぶん広がってきました。最近はすぐに酸化してしまう(俗に腰が弱いといわれる)食用油が多いようです。酸化した油は食用にすると危険ですから、これが廃棄物として家庭から出てくるわけですが、本当ならできるだけ廃油を出さない工夫も必要だとお思います。まず油をよく選んで少々高価でも天ぷらなどの揚げ物には酸化しにくいものを使います。ゴマやナタネの油で、昔ながらの方法で圧搾したものが酸化しにくいようです。今は薬品で抽出したものがほとんどですから気をつけましょう。

天ぷらのコツとしてはタップリの油に少しのネタといわれますが、これも面倒がらずに小さい鍋でごく少しずつネタを入れます。何回か揚げ物に使ったら、いため油にして全部使いきってしまいます。中華料理などでは、いため油は2、3度使った揚げ油を使うように教えている本もあります。多数の家庭から集めた天ぷら廃油は、原料が種々雑多で不定不明で鹸化値(どのくらいのアルカリで鹸化するか)がわかりませんから、市販できるようなせっけんは作りにくいといわれています。

リサイクル運動も結構ですが、その前に棄てないことも考えましょう。学校給食などではずいぶんきれいな油が棄てられているようですが、大量に廃油の出来る事業所では、油の再製工場へ出す方が良いのではないでしょうか。物の乳化剤、ショ糖脂肪酸エステルとビタミンAの相乗作用のことを思い出してください。四肢の異常が36.6%つまり3匹に1匹以上の割で生まれてくるのです。

最近テレビでみたのですが、食用油の酸化はあまり問題ではなさそうです。酸化物質ができてしまった油でも、120℃以上になると酸化物質は消えてしまうようです。1992年国民生活センター(経済企画庁と文部省の共管法人)の調査でも、ごく普通に10回揚げ物に使った油(10世帯に新しいサラダ油を配り、唐揚げも含めて油を普段通りに10回揚げ物をしてから回収)を調べたら、厚生省が新しい油と交換する指導基準(酸価2.5、カルボニル価50)を超えるのは一つもなく、酸価で最高0.7、平均0.5、カルボニル価は最高23、平均12でした。一日中同じ油を使っているファストフードの店の油は、酸価が交換基準の2.5倍を超えているものが3名柄中2銘柄ありました。ジャンクフードなどと呼ばれるのも当然です。学校給食や大きな施設から出る油は一定の油ですから、石けん工場に回すのはむしろ賛成です。ある大手の油脂会社は、納入しているファストフード店から使用後の油を回収して、ペットフードに回していると聞いています。 物の乳化剤、ショ糖脂肪酸エステルとビタミンAの相乗作用のことを思い出してください。四肢の異常が36.6%つまり3匹に1匹以上の割で生まれてくるのです。

まだまだ使えるきれいな油を固めて捨てるなどという商品がありますが、油をたくさん使わせたいメーカーの陰謀が見え見えです。家庭でも棄てるくらいなら、石けんにして使ってから流す方がまだましだと思います。私の趣味は洗濯と料理ですが洗濯の方は再婚以後ですから、まだまだ歴史は浅いのですが、料理の方はハタチの頃からの趣味ですから、年期が入っています。天ぷらも大阪で3代続いた天麩羅屋の大将から、褒められた位の腕前です。揚げ物をする度に油漉し紙で漉せば、油は何回でも使えますし、最後は炒めもので使い切ります。

※このコーナーでは、石川貞二さんの文章をそのまま掲載しています。当「石鹸百科」とは異なる見解が含まれていることがあります。