昔はアルカリ洗濯が基本

昔の日本でも洗濯には植物灰の灰汁(あく)が使われていました。江戸時代には、桶に水を満たして灰を入れ、底の栓口から灰汁がしたたるようになった「灰汁桶」が各戸に置かれていて、これを用いてたらいで手洗いしていたようです。現在でも、木造住宅の汚れ落としに「灰汁洗い」という名が残っています。これはアルカリ水溶液で木材の汚れを落とす方法で、今では専用の薬剤を使いますが昔は文字通り灰の上澄みを使っていました。

日本に石鹸が初めて入ってきたのは、織田・豊臣時代の天文12年 (1543)。ポルトガル船が種子島に漂着したときに、鉄砲や金平糖などとともに「シャボン」も持ち込まれたと言われています。しかしその製造法までは伝わらず、日本の一般庶民が石鹸を使えるようになったのはそれから300年後の明治時代から。それまで石鹸は主に下剤や腫れ物用軟膏などの薬として使われ、汚れ落としの主役はあくまで灰汁であったとのことです。

灰汁のほかには、サイカチなどの植物に含まれる天然の界面活性剤(サポニン)、尿を分解したアンモニア、米のとぎ汁、大根や芋の煮汁、泥なども洗浄剤として使われていたようです。

洗濯絵

日本には「洗濯絵」というものがあります。最古の洗濯絵は平安末期に作られたと伝えられる国宝「扇面古写経」。これには川の中で踏み洗いをする様子が描かれています。昔の洗濯法は「踏み洗い」が主流だったのですね。重文「信貴山縁起絵巻」や「石山寺縁起絵巻」、そして江戸時代のさまざまな浮世絵にも踏み洗いをする人々が描かれています。

洗濯をする女の白い脚に見とれて墜落した久米仙人

むかし、奈良に住む久米(くめ)という仙人が空を飛んでいたとき、下界の吉野川で洗濯する女が目に入りました。着物をまくり上げて洗濯をするその白い脚に見とれた仙人。1度は断ったはずの色欲を甦らせ、神通力を失って墜落してしまいます。奈良県の橿原市久米町にはその久米仙人が興したとされる久米寺が残っています。(吉田兼好『徒然草』第8段 色香の魔力より)

2014年7月改訂(2009年11月初出)

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