アルカリ剤には、水酸化ナトリウムのようにうっかり触ると皮膚が溶けてしまうような劇...
アルカリ剤には、水酸化ナトリウムのようにうっかり触ると皮膚が溶けてしまうような劇薬もあれば、重曹のように料理に使えるほど穏やかな性質のものもあります。この違いはどこから来るのでしょうか。
詳しくは、次の「アルカリと酸の違い」で説明しますが、アルカリ性の物質は水に溶けたときに、その一部あるいはほぼ全てが、イオンに分かれて水酸化物イオン(OH-)を出します。そのOH-イオンが多ければ多いほど、アルカリとしての性質が「強く」なるわけです。
苛性ソーダ(水酸化ナトリウム NaOH)や苛性カリ(水酸化カリウム KOH)は典型的な強アルカリ。「毒物及び劇物取締法」によって劇薬とされています。これらは水に溶けるとほとんどすべての分子がイオンに分かれ、水の中に出てくる水酸化物イオンの数も多くなるので強アルカリとなるのです。
一方、炭酸ソーダ(Na2CO3)を水に溶かすと、水(H2O)と一部の分子が以下のように反応します。
ここで、水酸化物イオン(OH-)が出ているので炭酸ソーダはアルカリ性だと分かるのですが、炭酸ソーダの全分子のうちこのようにイオンに分かれるものは少数。つまり、水酸化物イオンの放出が少ないのです。よって、炭酸ソーダは苛性ソーダよりもアルカリ性は弱い、となるわけです。
酸素系漂白剤である過炭酸ナトリウム(2Na2CO3・3H2O2)は、炭酸ソーダに過酸化水素(H2O2)がくっついたもので、これも弱アルカリ性です。
アルカリと同じく酸にも「強酸」「弱酸」があります。強い酸である塩酸や硫酸に触ると皮膚が酸で焼けただれてしまいます。しかし、弱い酸のクエン酸や酢酸水溶液はそれほど危険ではありません。
強酸である硫酸が水に溶けると、上の化学式のようにイオンに分かれて、水素イオン(H+)が2つ水の中に出てきます。この水素イオンを出す=酸性物質ということなのですが、その水素イオンの数が多いほど酸としての性質も強くなります。硫酸のような強い酸は、水に溶けたときに硫酸分子のほとんどすべてがイオンに分かれるので性質のキツイ「強酸」となるわけです。塩酸、硝酸などもこの強酸の仲間です。
一方、リン酸、フッ化水素酸、炭酸、酢酸、クエン酸などは、水に溶かしても分子が強酸に比べてイオンに分かれにくいので、水素イオンの放出も少ない。ですから酸としての性質が弱いわけです。ちなみに、弱酸である炭酸ガス(CO2)に圧力を掛けて水に溶かし込んだものが、サイダーなどの炭酸飲料です。
山菜を湯がくときにワラ灰を入れると良いと聞いたことはありませんか。山菜には「アク」がたくさん含まれています。このアクとは植物性食品に含まれるアルカリ塩やアルカロイドのことで、強いえぐみ、渋み、苦みを持つので調理前に取り除かねばなりません。そこで、灰に含まれる炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ成分でこの「アク」を取りのぞき、調理に適した状態にするわけです。
2009年11月11日改訂