● 脇役から準主役へ
〜アルカリ洗浄、重曹、セスキ炭酸ソーダ、炭酸ナトリウム〜
昔のように「汚れたら洗う」から、現在はえてしてそれほど汚れてもいないのに「着たら洗う」ようなことが多いようです。洗濯技術がきちんとしていれば、毎度の洗濯に洗剤は必要ではないと考えられます。
これまでみてきたようにアルカリ類の水溶液は一定の洗浄力をもっていますから石けんによる洗濯との併用は可能です。とくに温和なアルカリ剤であるセスキ炭酸ソーダは水に溶けやすく、長期間保存してもほとんど変質しないので大変使いやすいのです。
セスキ炭酸ソーダは炭酸ナトリウムと重曹の複塩で、両者の中間的な性質をもち、絹・羊毛・木綿などの洗浄精練用に使われたり、入浴剤や家庭用洗剤に配合されて用いられています。
(pHは炭酸ナトリウムが11.2、重曹が8.4、セスキ炭酸ソーダが9.8〈1%水溶液、24℃〉)
アルカリ剤は通常の使用量では環境への負荷の小さい無機塩類ですから、洗濯に限らず、通常の洗浄に併用することによって、有機物である石けんや洗剤の使用量を大幅に減らすことができます。
最後に、辻薦著「暮らしの中の洗浄」から、次の文章をご紹介します。
「石けんがなお高価な洗剤であったころや、戦時石けんの不足した時代には、水に易溶性の炭酸ナトリウム・10水塩(洗濯ソーダ)や、これに等量の重炭酸ナトリウムを加えてアルカリ性を弱めたセスキ炭酸ナトリウムが、家庭における衣料の洗剤として広く用いられた。炭酸ナトリウムの1%水溶液のpHは11.2、セスキ炭酸ナトリウムのそれは9.8である。」
参考文献:
辻薦著「洗浄と洗剤」「暮らしの中の洗浄」地人書館
阿部芳郎著「洗剤通論」近代編集社
藤井徹也著「洗う」幸書房
奥山晴彦・皆川基編集「洗剤・洗浄の事典」朝倉書店
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