石鹸と合成洗剤は、見た目や用途だけでは区別できません。では、石鹸をお店で買うにはどこを見て選べばよいのでしょうか?
目次
「体用」か「家事用」か
※いずれも2020年6月時点の体制
体用:厚生労働省の管轄
家庭で使う洗剤の中には2種類あります。まず、人間の体を洗うためのもの。これは厚生労働省の管轄で、薬機法(旧:薬事法)という法律によって規制されます。
家事用:消費者庁の管轄
次に人間以外のもの、具体的には食器や衣類、住居などに使うもの。これは消費者庁の管轄(※)で「家庭用品品質表示法」という法律によって表示方法が決められています。
パッケージの「品名」と「成分」に注目
まずは、洗濯用と食器洗い用石鹸のパッケージ裏にある表示を見てみましょう。
家庭用品品質表示法に基づく表示 | |
---|---|
品名 | 洗濯用石けん |
用途 | 綿・麻・レーヨン・合成繊維用 |
液性 | 弱アルカリ性 |
成分 | 純石けん分(70%)脂肪酸ナトリウム炭酸塩 |
正味量 | 1.75kg |
標準使用量 | 水30Lに対して35g スプーン一杯(30Lの線まで) |
家庭用品品質表示法に基づく表示 | |
---|---|
品名 | 台所用石けん |
用途 | 食器・調理器具用 |
液性 | 弱アルカリ性 |
成分 | 純石けん分(23%)脂肪酸カリウム |
正味量 | 450mL |
標準使用量 | 水1Lに対して4mL (料理用小さじ1杯は約5mL) |
この中で、石鹸を選ぶときに注目したいのは「品名」と「成分」です。
「品名」のところには「洗濯用石鹸」「台所用石鹸」と書かれていますね。これは、洗浄成分は全て石鹸だということを表しています。
表示にはこのほかに「○○用複合石鹸」「○○用合成洗剤」という品名が書かれている場合もあります。複合石鹸というのは、洗浄成分に石鹸と合成界面活性剤の両方が使われています。そして、合成洗剤とあったら、これは洗浄成分のほとんどが合成界面活性剤だと考えて間違いありません。
詳しい区分は、次の通りです。
品名 | 界面活性剤のうち純石けん分※の割合 | 石けん以外の界面活性剤の割合 | |
---|---|---|---|
洗 濯 用 |
石けん | 100% | 0% |
複合石けん | 70%以上100%未満 | 30%未満 | |
合成洗剤 | 70%未満 | 30%以上 | |
台 所 用 |
石けん | 100% | 0% |
複合石けん | 60%以上100%未満 | 40%未満 | |
合成洗剤 | 60%未満 | 40%以上 |
成分の見方
次に、「成分」のところを見てみましょう。純石鹸分、と書いてあります。その後に続く「脂肪酸ナトリウム」「脂肪酸カリウム」というのは、どんな種類の純石鹸分が使われているかという説明です。
純石鹸分以外には「炭酸塩」という文字がありますね。これは石鹸の働きを助けるアルカリ助剤という成分です。特に危険性はなく、普段着洗い用の粉石鹸などにはぜひ入っていて欲しい成分です。固形石鹸にはケイ酸塩というアルカリ助剤が配合されることが多いようです。
それ以外の成分名が書かれていたら、ちょっと注意が必要です。あなたにとって安心な成分かもしれないし、そうではないかもしれません。どんなものだか分からないときはひとまず買うのを待って、本やネットで調べたり、詳しい人に尋ねたりしたほうが良いでしょう。
「成分」のところの、界面活性剤以外の助剤、添加剤の表示方法は、次のように決められています。
含有率にかかわらず表示されるもの
蛍光増白剤、酵素、漂白剤
含有率10%以上のもの
物質名で表示(例:炭酸塩、ケイ酸塩、など)
含有率1%以上10%未満のもの
機能名で表示(例:水軟化剤、再汚染防止剤、など)。
ただし、リン酸塩だけは物質名で表示される。含有率1%未満のもの
表示されない(例:エデト酸塩、香料、色素など)
つまり、エデト酸塩や香料などが配合されていても1%未満なら表示されないということです。薬機法(旧:薬事法)で規制される浴用石鹸などと違い、ちょっと基準がゆるい感じですね。だから少しばかり注意が必要なのです。
掃除用の石鹸の場合も、注目するのは「品名」と「成分」です。掃除用の場合は「浴室用」「トイレ用」「住居用」のように、用途別の品名がついていますが、洗濯や台所用と同じように、品名欄が「○○用石鹸」 となっていて、成分のうち「純石鹸分」以外のものが「炭酸塩」「ケイ酸塩」であれば、 まずは安心。そうでなければちょっと待って、調べてみましょう。
石鹸・複合石鹸・合成洗剤のどれでもない場合は?
石鹸・複合石鹸・合成洗剤のどれでもない「○○用洗浄剤」という品名もあります。
これは、界面活性剤を使わず、酸やアルカリなどの働きで汚れを落とすものです。成分名が分かりにくいものも多いので、よく調べてから購入するようにしましょう。