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過炭酸ナトリウムには毒性がある
過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)は毒性があり、飲み込んだ場合には治療が必要です。
大量に飲み込むと皮膚や粘膜を刺激し、口中や喉の痛み、吐き気、嘔吐、胃の不快感などが現れます。場合によっては虚脱状態、チアノーゼ、呼吸困難、昏睡状態となる可能性もあります。
また、少量の誤飲でも本人の健康状態によっては危険な場合があります。
対処法:少量を飲み込んだとき
過炭酸ナトリウムの粉末を少しなめたり、薄めた液を一口飲んだりした場合はすぐに水で口をすすぎ、念のため生卵またはコップ1杯の牛乳を飲んで様子をみます。どちらも手元にないときはコップ1杯の水を飲ませます。
病院に行くべきケース
以下の様な場合はすぐに病院へ行って下さい。
- 一時間以内に嘔吐や下痢などの症状が出た。
- 本人の様子がいつもと明らかに違う。
- 誤嚥の可能性がある。(高齢者、物を飲み込む力が弱い人など)
対処法:大量に飲み込んだとき
薄い液でも大量に飲んでしまった、粉末や濃い液をまとまった量で口にした。このような場合は応急処置の後に医療機関を受診します。
応急処置
食道や胃粘膜を保護するため、できるだけ早く生卵かコップ1~2杯の牛乳を飲ませます。どちらも手元にないときは水をコップ1~2杯飲ませましょう。
注意点1:無理に吐かせない
過炭酸ナトリウムを飲み込んだ人を無理に吐かせてはいけません。(自発的な嘔吐は無理に止めなくてもよい)
通常は、悪いものを飲み込んだら「吐かせなければ」と思います。しかし、無理に吐かせると過炭酸ナトリウムを飲んだときに傷ついた口や食道の粘膜が、胃から逆流してきた刺激性の吐物によってさらに傷つく可能性があります。
また、誤嚥によって吐物が肺に入り、炎症を引きおこすこともあります。
注意点2:「中和」しない
過炭酸ナトリウムのアルカリ性を胃の中で中和しようと、酢やフルーツジュースを飲ませるのもよくありません。中和熱が発生して胃や食道組織の損傷をひどくする可能性があります。
公益財団法人「日本中毒情報センター」
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参考文献:『完全図解 高齢者介護急変時対応マニュアル』講談社