洗浄用酵素の種類と働き

洗剤によく配合される酵素はプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)、リパーゼ(脂肪分解酵素)、アミラーゼ(デンプン分解酵素)、セルラーゼ(繊維分解酵素)です。いずれも加水分解反応を触媒する「加水分解酵素」の仲間です。

プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)

プロテアーゼとはタンパクを分解する酵素のことです。

衣類汚れの約10~20%を占めるタンパク質汚れは大きく2種類に分けられます。水に溶ける水溶性タンパク質(血液、牛乳、卵白など)と、水に溶けないケラチンタンパク質(皮膚表面から剥がれた角質細胞など)です。

水溶性タンパク質は、衣類についてすぐなら水で簡単に洗い流せるのですが、乾燥して固まってしまうと水に溶けにくくなります。このような汚れにもプロテアーゼは力を発揮します。

プロテアーゼはタンパク質の分子内にある「ペプチド結合」という部分を切り、より分子量の低いペプチドという化合物に変えます。一般的に、タンパク質の分子量は100万程度ですが、プロテアーゼによって分解されると1万から1,000程度に小さくなり、そのサイズになると簡単に洗い流すことができるのです。

リパーゼ(脂肪分解酵素)

リパーゼとは、油脂の主成分であるトリグリセリドを分解する酵素のことです。人の皮脂腺より分泌される皮脂汚れや、生活の中で衣類に付着する動植物油脂などを洗い流すのに効果があります。

トリグリセリドは中性脂肪の一種で、グリセリン1分子に脂肪酸3分子が結合してできています。動植物油の成分のうち80%が、そして皮脂成分の40%がトリグリセリドです。

リパーゼはこのトリグリセリドをジグリセリド→モノグリセリド→遊離脂肪酸とグリセリン、という順序で加水分解します。分解されてできた遊離脂肪酸やグリセリンはトリグリセリドよりも低い温度で水に溶けるので比較的楽に洗い流せるのです。

アミラーゼ(デンプン分解酵素)

アミラーゼとは、デンプンを分解する酵素のことです。デンプンは食品由来の汚れに多い成分です。

デンプンはそれ自体が衣類にとっての汚れとなるだけでなく、ほかの汚れを衣類にくっつけてしまう糊のような作用もします。アミラーゼはデンプンの分子結合を切り、低分子量のオリゴ糖と水溶性デキストリンに分解して洗い流しやすくします。

セルラーゼ(繊維分解酵素)

セルラーゼとは、木綿やレーヨンなどのセルロース系繊維を分解する酵素のことです。

セルラーゼはほかの洗浄用酵素と違って汚れに直接作用しません。汚れが入り込んでいる繊維部分のまわりのセルロース分子を分解し、閉じ込められた汚れを洗浄液中に解き放つことで洗浄をサポートします。

セルラーゼには繊維のごく細かい毛羽立ちを刈り取る作用もあります。毛羽に付いていた汚れは刈り取られた毛羽と一緒に洗い流されます。また、毛羽立ちがなくなると汚れが取りつく場所が減るので衣類が汚れにくくなり、毛羽立ちのせいで白くぼやけたようになっていた衣類の色柄が鮮やかに蘇る効果も期待できます。

ただし、これらの効果はセルロース系以外の繊維(ポリエステルやビニールなど)には期待できません。

2012年12月初出

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