ニセ科学と石けんの諸問題 -洗浄の科学とシャボン玉石けん-

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炭酸塩に対する矛盾した態度

炭酸塩は昔から生活の中で使われてきた、ごく安全な物質です。しかしシャボン玉石けんは炭酸塩入りの石けんを認めようとせず、炭酸塩を入れると粉石けんの品質が低下すると主張し他社製品を非難しています。

「友の会だより」No.54でも「炭酸塩の安全データシート」(*1)から「危険有害成分:なし」「最重要危険有害性:通常の取扱いでは、とくに危険性はない」という最も重要な部分を外し、「危険」「有害性」部分のみを長々と引用するなどの念入りな啓蒙を行っています。

ところが、そう言いながら同社は炭酸塩を販売しているのです。ただし通常の販売ページには載っていない裏メニュー的商品ですが。

シャボン玉石けんのウェブサイトhttp://www.shabon.com/faq/?itemid=65

Q&A 7. その他「排水口のつまりや臭いをとる方法は?」
「排水口のニオイやつまりがある時には炭酸塩を使う方法をご紹介致します。炭酸塩は、1kg220円でお分けしております。(炭酸塩をオンラインショッピングで注文する場合は、通信欄にご入力ください。)……(後略)」

つまり、シャボン玉石けんは石けんに混ぜることすら認めない危険な炭酸塩を変則的な方法で販売しているのか、あるいは素人が排水口掃除に使っても問題ないほど安全な炭酸塩を危険と騒ぎ立てているのか、どちらかだということになります。

また、シャボン玉石けんの酸素系漂白剤(こちらは正規商品)の成分は過炭酸ナトリウム100%ですが、商品説明は以下の通りです。

「友の会だより No.42」(1998年)の記述をそのままコピーした販売ページ
http://www.yu-netkita.com/shabondama/qa42_02.html

「(過炭酸ナトリウムは)水に溶けると過酸化水素と炭酸ソーダに解離し、この過酸化水素の中から酸素が出て漂白効果があらわれます。」

「炭酸ソーダ」とは、炭酸塩の通称です。(石鹸百科・知識館「ソーダとナトリウムって同じなの?塩って何?」参照)

ここでもまたシャボン玉石けんは炭酸塩を原料とする製品を販売しているわけです。そしてその商品説明文のすぐ下で化学の専門用語をこれでもかと並べたてて塩素系漂白剤などの恐ろしさと自社製品の安全さを強調し、炭酸塩と酵素と蛍光増白剤を危険物質としてご丁寧に色付きで表示しています。

しかし2000年5月、「週刊金曜日」第316号の「買ってはいけない(143)」誌上では「なぜ炭酸塩を批判するのか、炭酸塩を蛍光増白剤などと同列に見ているのか」と尋ねられた森田氏は「そんな批判はしたことがない。自分が炭酸塩を蛍光増白剤と同じに見ているなど中傷である」と言い切っていました。

同じ物質について自社製品の成分説明では「炭酸ソーダ」と安全そうな名前でさらりと流し、一方で「危険な炭酸塩」として他社製品には言いがかりを付けて自社製品のイメージアップを図る――そのような程度の低い販売戦略を一流の企業が用いるとは思えません。

以上のことから、恐らく森田社長及びシャボン玉石けん株式会社は炭酸ソーダ/炭酸塩についての正確な知識を持ち合わせていないと思われます。石けんの製造販売会社としてはまことに心許ない限りです。

(*1)製品安全データシート: 化学物質を適切に取り扱うため、その物質の健康・環境面への影響に関する情報や安全な取り扱いを確保するために必要な全ての情報を書面化したもの。MSDS(Material Safety Data Sheet)とも呼ばれる。

炭酸塩の必要性について

石けんには、他の界面活性剤と大きく違う以下のような特性があります。

  1. 薄まると汚れを手放す
  2. 酸に弱い
  3. ミネラル(硬度成分)に弱い
  4. 冷水では溶けにくい

(石鹸百科・知識館「これだけは知っておきたい石鹸の特性」参照)

上記石けんの特に「酸に弱い」・「ミネラル(硬度成分)に弱い」という特性があるからこそ、環境や人体へ決定的な悪影響を及ぼす恐れがない=安全だと言えるのです。しかしいくら薄めても界面活性作用を失わない(がゆえに、環境中で様々な問題を起こすと言われている)合成洗剤のような強力さに欠けることは洗濯においては都合が悪い。そこで、炭酸塩やケイ酸塩などのアルカリ剤の力を借りて洗濯液が酸性に傾くのを防ぎ、金属石けん(石けんカス)の生成を抑えて洗浄力を上げてやるわけです。

シャボン玉石けんは炭酸塩入り石けんは低品質であると主張しています。しかし無添加石けんのみでの洗濯は余程上手に行わない限り石けんカスが多く発生し、洗濯物の黄ばみや臭い、そして洗濯槽の黒カビの原因になります。更に悪いことに、炭酸塩を使わない分石けんを多く使わねばなりませんから、環境中に放出される石けんの量も必然的に増えます。石けんも有機物なので無駄に流されれば水を汚します。そのようなことはできるだけ避けるべきなのです。(ニセ科学と石けんの諸問題『洗濯用「無添剤」石けんの問題点』参照)

ちなみに炭酸塩は無機物(生分解が不要)なので、環境に過度の負荷をかける心配は有機物よりはるかに少ないのです。

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