ニセ科学と石けんの諸問題 -「家庭用」軟水器の諸問題-

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学界での発表について

その成果は2004年5月12〜14日、群馬県で開催された第16回日本アレルギー学会春季臨床大会で発表するまでにいたりました。 石けんカスが皮膚のアレルギー反応を亢進させる可能性があることが確認され、石けんカスの発生を抑える軟水の使用が、皮膚アレルギーの緩和に有用である事が示唆されたのです。

三浦工業別ウィンドウで別サイトを開きます

上記の文章を分かり易く言い換えるとこうなります。

「2004年5月12〜14日、群馬県で開催された第16回日本アレルギー学会春季臨床大会で発表した。内容は、石けんカスが皮膚のアレルギー反応を亢進させることがある……かもしれない。また、石けんカスの発生を抑える軟水の使用が、皮膚アレルギーの症状を抑える可能性はゼロではない……かもしれない。」

要するに、はっきりしたことはまだ何にも分かっていない、ということです。

同社は老人ホームでの臨床試験結果として、人工軟水の風呂によって角質層の剥離が亢進した(垢がよく落ちた)という「発表」もしています(保湿・保温効果については有意差なし(=改善は見られなかった))。しかし、数百円程度の入浴剤でも角質層の剥離は促進されますし、その上保湿・保温効果も付いてきます。市販の入浴剤以下とも取れる、このような成果が「学会発表」できたのはなぜでしょうか。

実は学会発表だけなら、基本的に誰でもできるのです。「アトピー性皮膚炎・不適切治療健康被害実態調査委員会」(1998年10月設立)の竹原和彦委員長(金沢大学教授)も「学会の名を利用した宣伝行為もアトピービジネスの常套手段だが、学会は発表の場であって、認定や評価の場ではない。学会に発表したからといって、必ずしもその内容が認められたことにはならない」としています。

学会に認められ、評価されるためには査読(さどく)にパスしなければなりません。査読というのは、その分野の専門家数名がその論文を読み込んで、内容が誤っていないか、新たに発表する価値があるかを審査することです。査読付きの論文誌に載ることで、初めてその論文は「学会に認められる」のです。もちろん、上記の軟水器業者の発表はどちらも査読付き論文誌には載っていません。

論文を書くときは、知識があって訓練を受けた人がそれを読んで、同じ実験をすることができるように書くことになっている。

(中略)

別のグループがまったく同じ実験をして結果を確認したり、最初の結果に基づいて別の実験をして矛盾がないことを示したりして、直接的・間接的にその結果が本当らしいということになると、やがてそれが定説になり、重要なものであれば教科書に載ることになる。

(中略)

教科書という形で皆さんの目に触れる科学の内容は、このようにして作られたものである。また、教科書や定数表を使うことで、直接・間接に検証が続けられている。
 逆に言うと、情報をたどっていったときに、最後に査読を通った論文に到達しない場合は、その話には信憑性はないと判断してもかまわない。

水商売ウォッチング「科学はどうやって作られるのか別ウィンドウで別サイトを開きます

余談ですが、前述の竹原和彦氏の発言中にある「アトピービジネス」とは

「アトピー性皮膚炎患者を対象とし、医療保険診療外の行為によってアトピー性皮膚炎の治療に関与し、営利を追求する経済活動。医療機関および医師によって実践、後援されているものも含まれる。(竹原和彦著「アトピービジネス私論―一皮膚科医による検証―」先端医学社)」

というものです。アトピー性皮膚炎に関する様々な議論については本稿の主旨から外れるので言及を避けますが、上記のごとく人工軟水とアトピー性皮膚炎について査読を受けない「学会発表」を繰り返す業者もいること、あるいはそのような「努力」さえ行わず、販売サイトに思わせぶりな謳い文句を並べる軟水器業者が数多く存在することは事実です(*6)。

アトピー性皮膚炎に対する不適切治療の具体的分類(140例中、複数回答有)
特殊療法(医療機関) 46例 33%
脱ステロイド療法(医療機関) 42例 30%
健康食品 25例 18%
脱ステロイド療法(医療機関以外) 22例 16%
化粧品 19例 14%
水療法 18例 13%
温泉、入浴関連 12例 9%
特殊療法(医療機関以外) 9例 6%
エステ 3例 2%
その他 36例 26%

日本皮膚科学会の調査結果より(調査期間:1998年10月〜1999年9月)

また、金沢大学皮膚科においても1998年8月〜9月にかけてアトピービジネスについてのアンケートが実施されました。その内、「アトピービジネス隆盛の責任は?」という質問に対する答は以下の通りです。

いい加減な報道をくり返すマスコミ 31.2%
十分な説明をしない皮膚科医 18.8%
アトピービジネスに協力、または自ら運営する医師 13.9%
だまされた患者自身 12.9%
アトピービジネスを放置する行政 9.9%
充分な対策をとらない皮膚科学会 8.9%
その他 4.4%

回答総数 202。回答者はアトピー性皮膚炎患者本人およびその保護者

マスコミの責任が最も重いとする回答が約3割を占めました。このことからも分かるように、テレビや新聞・雑誌などは世間に対し大きな影響力を持っています。特に医療・健康については、話題性と目新しさ先行の報道は多くの人を傷つける可能性を含んでいます。マスコミ各位の良識ある報道を期待したいところです。

引用文献

  • 竹原和彦著「アトピービジネス」文春文庫

*6 人工軟水がアトピーに「効く」と思わせるような宣伝の一例

http://www.tanino.co.jp/nansui/index.html別ウィンドウで別サイトを開きます
〜6日間おためし軟水体感をご自宅のお風呂でどうぞ!
おためしいただきたい方々●アトピー性皮膚炎の方●純石けんをお使いの方

http://www.jabjabad.com/別ウィンドウで別サイトを開きます
アトピー 性皮膚炎、敏感肌、乾燥肌など 肌の トラブル でお悩みの方に、軟水!軟水!軟水!

http://st.cat-v.ne.jp/daiichi/nansui.htm#hikaku別ウィンドウで別サイトを開きます
こんなにたくさんの「気持ちいい」があなたを待っています(略)
ひどかったアトピーがきれいになった

http://blog.livedoor.jp/system_union/archives/26280659.html別ウィンドウで別サイトを開きます
私共も三浦工業さんとタイアップして、軟水器の販売もさせていただいている。 ☆アトピーに効く。 ☆美肌効果

http://cgi.biwa.ne.jp/~otsucci/d/html/data/2501000409001.html別ウィンドウで別サイトを開きます
アトピー性皮膚炎でスキンケアーとして注目されてきた軟水器販売店を募集しております。

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