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「美人の湯」と硬度について

軟水器はイオン交換樹脂の働きにより硬水からミネラルイオンを取り除き、代わりにナトリウムイオンを放出します。ミネラルがなくなりナトリウムリッチな水になるのでこれに入浴するとナトリウム泉と同様の効果があります

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ナトリウム-塩化物泉はナトリウムだけが溶けている湯ではありません。天然温泉が体に良いのは、湯に無理なく溶け込んだ様々な天然成分全てがバランス良く体に働きかけるからです。人為的にナトリウム濃度だけを高めてミネラル分を除去した水が天然温泉と同じだというのは宣伝が過ぎます。

美人の湯の必須条件は軟水であることです。美人の湯の温泉の種類は、ナトリウム炭酸水素塩泉、アルカリ性単純泉、単純温泉が多いことがわかります。

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上記サイトに紹介されている竜神温泉(和歌山県)は確かに軟水(硬度25)で「三大美人の湯」に数えられていますが、後の2つは、以下のようにいずれも硬水です。

川中温泉(群馬県)
カルシウム─硫酸塩泉。
硬度約1000(カルシウム400mg/L, マグネシウム0.31mg/L)
湯の川温泉(島根県)
ナトリウム・カルシウム・硫酸塩・塩化物泉。
硬度約277(カルシウム110mg/L. マグネシウム0.4mg/L)

この軟水サイトでは、「美人の湯の硬度は水道水より低い」として人工軟水による「美人の湯レシピ」も紹介していますが、「三大美人の湯」のうち2つまでもが硬水であることには不幸にして気付かなかったようです。

ちなみに、美容効果の高さで人気のコントレックス(Contrex)による水治療を行うコントレキセヴィル鉱泉治療センター(フランス)では、コントレックス100%の風呂やプールが治療メニューに取り入れられています。コントレックスの硬度は1551、「非常な硬水」です。(Ca 486mg /l、Mg 84mg/l、ナトリウムの含有量は9.1mg/lと極めて少ない)

参照:ミネラルウォーターの町を訪ねて別ウィンドウで別サイトを開きます

硫黄泉や鉄泉、酸性泉、塩化物泉、硫酸塩泉などの温泉は美人の湯とは言われないようです。

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硫黄泉である神奈川県・芦之湯温泉は「美肌の湯」といわれ、静岡県・寸又峡温泉は「美女づくりの湯」として有名です。また、酸性泉は活火山の噴気口近辺から湧く塩酸・硫酸・ほう酸を多く含む日本特有の泉質で、抗菌力があるので慢性皮膚病を癒やします。天下の三名泉のひとつ草津温泉はpH2前後の酸性泉。pH1.2の秋田県玉川温泉(強酸性硫黄泉)も各種皮膚病に効果があるとして全国的に有名です。このように、硫黄泉や鉄泉、酸性泉、塩化物泉、硫酸塩泉であっても、肌を健やかに保つ働きのある温泉は日本各地に存在します。

温泉評論家の山本正隆氏によると、「元祖美人の湯」は、唐の玄宗皇帝と楊貴妃が保養し、「温泉水滑洗凝脂(温泉水滑らかにして凝脂を洗う)」と白楽天が楊貴妃の美しさを「長恨歌」の一節で謳ったことで有名な驪山(Lishan)温泉(中国)を指すそうです。同温泉水には石灰、炭酸マンガン、硫酸ナトリウムなどの九種類の有機物質が含まれていると言われ、石灰石の主成分は炭酸カルシウム(CaCO3)ですからここも硬度の高い温泉であることは確かです。

硬度と「美人の湯」について川中温泉の関係者に問い合わせたところ、「何を基準に美人というかがまず問題だし、大体、上質の温泉に浸かれば体調が良くなってきれいになるのは当たり前。美人の湯という言葉だけ取り上げて硬水軟水と騒ぐなんてバカバカしい。」と大笑いしておられました。

硬度成分と「美人の湯」に関しては、温泉学会第1回全国大会における信濃毎日新聞社編集委員・飯島裕一氏の記念講演別ウィンドウで別サイトを開きます中にも興味深い箇所があります。

日本各地に、美人の湯、子宝の湯、傷の湯とよばれている温泉があります。では、泉質から見て、特徴があるのか−−。この辺について、ちょっと触れたいと思います。

美人の湯とは、肌がしっとり、すべすべするという点では「美肌(びはだ)」の湯」と言った方が適切かもしれません。ちなみに、「日本3美人の湯」というのがありますが、ご存知でしょうか? ▽川中温泉(群馬県)=石こう泉 ▽龍神温泉(和歌山県)=重曹湯 ▽湯の川温泉(島根県)=含食塩−石こう泉(※a) です。

このように「3美人の湯」の成分は、微妙に違いますね。しかし、いずれも弱アルカリ性で、ナトリウム、カルシウムイオンを含んでいることは事実です。群馬大学草津分院の分院長でいらした久保田一雄先生は、「アルカリの湯の中で、皮膚の脂(皮脂)とナトリウムイオンが結合して、つるつるした感じと清浄感を生み出す。さらに、湯上り後にナトリウムイオンがカルシウムイオンに置き換わると、カルシウム脂肪酸塩ができてベビーパウダーのようなすべすべした感じがするので美人の湯となるのだろう」との仮説を立てています。」

※a 石こう泉:1979年以前に使用されていた旧泉質名。現在は「カルシウム−硫酸塩泉」と表示される。

温泉の善し悪しは、硬度とは全く関係ないということがよく分かります。

参考サイト

「国際温泉評論家 山本正隆の世界ココシカ温泉談義」から元祖美人の湯別ウィンドウで別サイトを開きます

参考文献

  • 桂博史著「中国温泉探訪記」岩波書店

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