炭酸塩のはなし−2−
石鹸の鹸は「あく」とも読みます。「あく」は灰汁とも書きます。植物の灰の中には、多量のカリウムが含まれています。その大部分は水溶性の炭酸カリウムであり、そのアルカリ水溶液が汚れの除去に効果があるのです。
旧約聖書に記載されている石けんに相当するものは、実は灰汁=アルカリ水溶液であったと考えられています。
石けんに類似するものは、ナイル川の「肥沃な三日月地帯」に発生したエジプト古代文明によって、紀元前2300年ごろから作られていたといわれています。
獣を一頭ごと焼いているときに滴り落ちた油が灰と混ざって偶然にできたのが石けんの始まりであり、ここでは灰がアルカリ剤だったのです。
産業革命以降の18世紀になってから、海水を電気分解して塩素と苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)が工業的に生産する技術が生まれて、石けんが大量に作られるようになりました。
油とアルカリ剤(灰)で石けんができる、これは今も昔も変わりません。
このように見てきますと、炭酸ナトリウムはわたしたちの生活の中で大変身近なものだということがわかります。
粉石けんに含まれる炭酸ナトリウムは、洗濯液の汚れによる酸性化を防ぐ役割を果たします。
洗濯にとって最もやっかいなのは、水に含まれる金属イオン(一般にミネラルといわれるカルシウムやマグネシウム)で、洗剤と反応して金属カスをつくります。石けんは特に強く反応し、洗浄力が落ちて泡立ちも悪くなります。
石けんや合成界面活性剤は、そのほとんどが陰イオン系(アルカリ性)です。金属イオンや汚れは酸性で、洗濯液が酸性に傾くと、洗浄力は大きく落ち込みます。
洗濯用粉石けんにおける炭酸ナトリウム配合の割合は、水の硬度と洗濯物の汚れによって決めるのが最も合理的です。
水道水の硬度が低く、汚れがそれほどひどくなければ、炭酸ナトリウム配合の少ないものを使えばよいのですが、最近、炭酸ナトリウムを添加しない石けんのみによる洗濯用粉石けんの販売が増える傾向にあります。
純石けんのみによる洗濯は、汚れに比例して石けんがアルカリ助剤の役割をも果たすことになり、その結果石けんの使用量が増えることになります。石けんといえどもその使いすぎは環境への負荷となります。
純石けん分94%以上の無添剤粉石けんは、絹・ウールなどのおしゃれ着洗いに適したものです。
炭酸塩の性質を正しく理解して、上手に利用することはとても大切なことなのです。
1999.11月:初出
2000.5.20:改訂
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