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脂肪酸の分類(飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸/高級脂肪酸と低級脂肪酸)

天然の油脂は、グリセリン1個と脂肪酸3個がエステル結合(注1)した物質(トリグリ...

天然の油脂は、グリセリン1個と脂肪酸3個がエステル結合(注1)した物質(トリグリセリド)がたくさん集まってできています。1個のグリセリンに結合する3個の脂肪酸は同じ種類が揃っているわけではなく、違う種類の脂肪酸が混ざりあっているのが普通です。

グリセリンに結合している脂肪酸は、炭素(C)と水素(H)と酸素(O)からできています。いくつかの炭素が鎖のように1本につながっていて、その炭素1個ごとに水素が結合しているものを鎖式炭化水素と呼びます。そこから水素がひとつだけ取れたもの(鎖式炭化水素基)に、カルボキシル基(-COOH)がひとつ結合すると脂肪酸となります。

その脂肪酸は、結合や構造の違いによっていくつかに分類することができます。

注1 エステル結合とは、エステルの中にある「-COO-」という結合部分のこと。エステルとは、カルボン酸(RCOOH)とアルコール(R'OH)が反応し、そこから水が取れてできる形の化合物を指す。

炭素の結合の仕方による違い

飽和脂肪酸

鎖式炭化水素基にある炭素がすべて単結合(飽和結合)している脂肪酸のこと。

1個の炭素原子(C)には、他の原子と結合できる手が4本あります。その炭素原子同士が、互いに1本の手を出し合って結びついている結合を「単結合」といいます。

そして、ある化合物の中にある炭素全部が単結合で結びついているとき、それを「飽和」と表現します。飽和している化合物の結合ということで、単結合のことを「飽和結合」と呼ぶときもあります。

飽和脂肪酸は炭素同士の結びつきに酸素が割り込んでくることが少なく、従って酸化が起こりにくい安定した性質を持っています。完全に溶けるためには、やや高い水温が必要(融点が高い)で、この脂肪酸を多く含む油脂は常温では固体(脂)となります。酸化が起こりにくい、溶けるには高温が必要という性質は、この脂肪酸を多く含む石鹸にも当てはまります。

飽和脂肪酸の例

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図1 ステアリン酸の構造式
炭化水素基はすべて単結合だけでできています。

不飽和脂肪酸

鎖式炭化水素基にある炭素の結合に、二重結合や三重結合(不飽和結合)を含む脂肪酸のこと。

結合用の手を4本持っている炭素原子同士が、2本ずつ手を出し合って結びつくと二重結合、3本の手で結び合っていると三重結合と呼ばれ、そのような部分を含む化合物を「不飽和」といいます。不飽和の化合物の結合なので、二重/三重結合のことを「不飽和結合」と呼ぶこともあります。

不飽和結合は炭素同士の結びつきが弱いため酸素に割り込まれやすく、酸化による変質が飽和脂肪酸より早いという欠点があります。ただ、二重結合が単結合に比べて水分子となじみやすいため、比較的低温の水にもよく溶けます(融点が低い)。ですから、常温では液体(油)となります。この脂肪酸が多い石鹸は普段のお洗濯用として適しています。

不飽和脂肪酸の例

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図2 オレイン酸の構造式
上記の図の矢印部分に二重結合があります。よって、オレイン酸は不飽和脂肪酸であることが分かります。

炭素の数による違い

高級脂肪酸

鎖式炭化水素の部分に炭素(C)がたくさんあるものを「高級」と言います。ですから、炭素を多く含む脂肪酸は「高級脂肪酸」ということになります。この脂肪酸を溶かすには高温の湯が必要です。融点(溶ける温度)が高いので、その多くは常温では固体(脂)です。

低級脂肪酸

鎖式炭化水素にある炭素の数が少ないものを「低級」と呼び、そのような脂肪酸は「低級脂肪酸」となります。炭素数が多い高級脂肪酸より、低い温度の水にも溶けやすい性質があります。融点が低いので、その多くは常温でも液体(油)です。

※この場合の高級低級は、脂肪酸の質の良し悪しとは関係ありません。

アルコールにも高級と低級があります。アルコールは鎖式炭化水素基にヒドロキシル基(-OH)が結合していますが、その鎖の部分に炭素がたくさんあれば「高級アルコール」、炭素が少なければ「低級アルコール」。洗剤などのCMで「高級アルコール系洗剤」とあったら、それは「炭素数の多いアルコールから作った洗剤」という意味です。「上等のアルコールでできた洗剤」というわけではありません。

2009年11月11日改訂