(5) 海水中での金属石けん

海水中で水に溶けない金属石けんになった石けんは、底に沈めば海底の有機物を餌にして...

海水中で水に溶けない金属石けんになった石けんは、底に沈めば海底の有機物を餌にしている動物が食べて、栄養にしていることは前回書きました。金属石けんは、波の荒い時は底に沈まず、懸濁物として水中を漂っています。これらはプランクトンのようなものですから、プランクトンを餌にしている動物が食べる筈です。プランクトン・フィーダーと呼ばれるこれらの動物には、大は髭鯨から、鯖・鰯、二枚貝などがあります。最も実験のしやすい二枚貝、その中でも何時でも簡単に入手できる(養殖しているから)カキを使って、調べてみました。

前回のナマコの時のように、海水を満たした1トン水槽に、洗濯用粉石けん100gを溶かして注ぐと真っ白に濁ります。強く曝気していると、金属石けんは小さい粒になって海水中に漂います。そこに、カキ10個を籠に入れて吊り下げます。1週間経つと、海水の白濁はすっかり無くなって、完全に無色透明になりました。しかもこの時も、カキ1個当り6g体重が増えていました。

この事は最初から予測出来ていました。例えば赤潮で海水が濁って透明度が1mも無い時でも、カキの養殖筏の中は底が見える位透き通っています。カキが赤潮プランクトンを鰓で濾して食べるからです。有害なプランクトンの場合は、死んでしまうこともありますが、殆どの赤潮の場合はかえってカキは太ります。プランクトンによっては赤い色素がカキの体に沈着して、東北地方で『血ガキ』と呼ばれる商品価値の無いカキになってしまうこともあります。しかしこの血ガキは、ヨーロッパでは「ピンク・オイスター」と呼ばれむしろ喜ばれることもあると聞いています。2年前に鳥羽でもこのピンク・オイスターが出てカキの価格が暴落し、養殖業者に打撃を与えましたが、私などは、実入りが良くて旨くて、その上安くて、いつもの年より沢山食べた位です。

プランクトンを食べている動物は、鰓で懸濁物を濾して食べるので、カキも赤土などで濁っているときは赤土を食べてしまい、かえって痩せてしまいます。

カキの吊るしてある1トン水槽に、合成洗剤を50g入れてやると、カキは殻を堅く閉じて呼吸するのを止め、2日後には死んでしまいます。この事は同じ二枚貝のアサリでも同様なので、家庭で実験が出来ます。アサリの砂出しをする時に(3%程度の自然塩水を使います。日本たばこ産業の食塩は、ただのNaClで生物には人も含めて有害です)適当に石けんを溶かしておきます。2~3日おいておくと、石けん滓はきれいに無くなり、アサリは丸々太っています。一方合成洗剤を溶かした方は、(合成洗剤の濃さによりますが)2~3日後には死んでいるか、痩せているかのどちらかです。人によっては、合成洗剤は勿論、石けんを食べたアサリなんか食べたくないといいますが、そこらの農薬や化学物質で汚染されている海で採れたアサリを、平気で食べていることを思えば、石けんで太ったアサリの方がまだマシだと思います。
何回も言いますが、生物にとって合成洗剤は毒で、石けんは無害、それどころか生物の餌になっています。

※このコーナーでは、石川貞二さんの文章をそのまま掲載しています。当「石鹸百科」とは異なる見解が含まれていることがあります。

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