(3) 合成洗剤とカキ

私が合成洗剤の急性毒性を、ウニの発生で調べてきたことは周知のことですが、何回かは...

私が合成洗剤の急性毒性を、ウニの発生で調べてきたことは周知のことですが、何回かはカキの発生でも調べました。

カキと言えば、広島・三陸(宮城・岩手)が有名ですが、生食用としては三重県の的矢が有名です。この的矢のカキを支えているのが、実は鳥羽市浦村町のカキなのです。漁業組合員のほぼ全員がカキ養殖をしているために、密殖気味で実入りが悪く、近くの的矢に出荷して、的矢湾のいい環境で太らせたものが、的矢カキとして高価で売られます。浜名湖や広島にも出荷され、それぞれそこで養殖されたり加工されたりしています。まだ出荷量も少ないので、殆ど知られていませんが、最近鳥羽市の桃取町で立派なカキが出来るようになり、期待しています。

ウニは種類によって産卵期が違うので、その時その時産卵期のウニを使えば、1年中実験が出来ますが、カキの産卵期は夏だけです。しかし6月中旬から8月中旬位の幅があり、成熟卵が得やすく、この時期にはとても使いやすい実験材料です。養殖場から貰って来て研究所の浮桟橋に吊っておくと、いつでも好きな時に実験が出来ます。

カキは(ウニも)外観ではオス・メスは分かりません。うまくいけば2個剥いただけで、オス・メスにあたることもあります。5個剥いてもオスばかりということもあります。卵巣・精巣からじかに卵と精子を取り出して、受精させることが出来ます。ウニよりもずっと楽ですし、合成洗剤に対してはウニよりも鋭敏に反応します。ママレモンを例に取ると、カキの幼生に与える影響は、ウニの幼生より1桁きつい結果が出ます。つまりウニだと1ppmで受けるダメージと同じ程度のダメージを、カキの場合は0.1ppmで受けます。

カキを使って実験する時、受精率や卵割で調べるよりも、孵化して(受精後1日で孵化します)泳ぎだした幼生(約1週間泳いでいます)が、翌日D型幼生とよばれる段階になるまでの間が、観察しやすいです。D型というのは殻が出来てきて、Dの形になるためで、はっきりした形の変化が見られます。

この方法で色々な合成洗剤を調べましたが、界面活性剤の性質を利用して、洗浄以外の目的で使われている、避妊フィルムも調べました。大鵬薬品工業が製造発売していたマイルーラというもので、これは強力な市民運動と、同社の労働組合の内部告発などで、昨年(2001年)製造を中止しました。4平方cm程度の薄い膜を事前に膣に挿入しておくと、後始末も不要な便利なものという宣伝をしていました。

これ1枚を、カキの幼生が泳いでいる海水1リットルに溶かすと、数時間でカキの子供は溶けてしまいます。10リットルの場合は24時間で全部溶けてしまいます。100リットルでは同じ時間で、一部溶けかけていて、全部死んでいます。1トンでも発生が遅れたりして影響が出ます。『カキは避妊しない』などと笑うような連中は、本当に何も分かっていないのです。界面活性の働きで精子を殺すのが目的とはいえ、膣の粘膜にどんな影響があるのか。又成分として50mg含まれているポリオキシエチレン・ノニル・フェニルエーテルは、分解してできるノニルフェニールが、環境ホルモンにリストアップされているのです。

※このコーナーでは、石川貞二さんの文章をそのまま掲載しています。当「石鹸百科」とは異なる見解が含まれていることがあります。

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