滋賀条例をどうみるか

滋賀県の「琵琶湖富栄養化防止条例」をどう評価するかで、その人の合成洗剤追放運動へのかかわり方がよくわかります。高く評価する人は、とにかく自分の住む自治体でも同じような条例を作らせることが、運動の第一目標と考えて、さかんに自治体と交渉をします。20周年のときに、滋賀県の条例が国の方針を超えた条例であり、勇気づけられたという発言がありましたが、私の考えでは、あの条例は国を超えられなかった標本としか見えないのです。政府が安全であるといっている合成洗剤は、全然追放できなかったのです。滋賀県が、合成洗剤追放条例を作ったと思いこんでいる人が、運動者の中にいたのかと、いささかがっかりしました。

あの条例は栄養であるリン酸塩を規制しただけで、合成洗剤は野放しです。そのために無リン合成洗剤などというまやかしものが、大手を振って登場してきたのです。メ-カ-は、はっきり「リン酸塩ほど安全な助剤はない」と言っているのですから、リン酸塩の代わりに添加されている助剤は、全部リン酸塩よりも危険です。

琵琶湖総合開発計画という途方もない一大自然破壊を推進しながら、合成洗剤のリン酸塩を規制するということで、まるで琵琶湖の環境問題が解決されるかのような錯覚を与える行政というものに、おぞましさを覚えます。

行政に期待したり、行政に頼ったりすることは、あまりにも他力本願すぎます。

※このコーナーでは、石川貞二さんの文章をそのまま掲載しています。当「石鹸百科」とは異なる見解が含まれていることがあります。